タイトル

真夜中のSOS

「たすけて・・・」   

ドキッ!!
碧は自分の心臓の音に驚いてガバッと蒲団から飛び起きた。
そう、どこかで、悲鳴のような小さな声が聞こえてきた。
起き上がった碧は、自分の心臓に手を当てる
ド・ド・ドッ・・・規則正しい命の音。
『なに? なんだったの?!』

秋の夜風が窓からスゥ〜ッと流れてきた。
ふと、窓の外を見ると
あぁぁ・・・   
信じられないほどのタンポポの綿毛が月の光に輝くように舞っている。
そして・・・耳を澄ませば
「たすけて・・」 「たすけて・・・」
沢山の綿毛がそう叫んでいた。
『エッ?! なに? 何なの?!』

ベッドの足下で寝ていた【ノラ】が鳶色の目をキラキラ輝かせながら
「ミドリ、イキマショウ。ジカン ノ トビラ ガ ヒライタワ♪」
「エッ〜〜!! ノラ、今しゃべったの??」もう、碧は腰が抜けんばかり。
「キョウハ、10ガツ10カ。ホラ、イツカノ ユメモノガタリ ノ ツヅキダヨ。」
「あぁ、そうか。夢なんだ・・・」
大きな欠伸をひとつして、また蒲団に潜りかけた碧をノラは慌てて口にくわえて起こした。   
「ネテ ハ ダメ。 ホラ、タンポポサン ガ タスケ ヲ モトメテル。」
「エッ・エッ・エ〜〜!!」
完全に碧は目をさました。そう、真夜中のツインタイムが始まった!!

窓から【ノラ】が星くずに向かって飛び出した。
その瞬間、【ノラ】は風船のように大きく膨らんだ。
パジャマのままの自分にちょっととまどったけれど、まぁいいか♪
両手をひろげて碧も飛び出した。
スゥ〜〜ッと【ノラ】が、碧を背中に乗せて夜空を一周。
「サトル ノ トコロヘ イキマショウ」
碧はちょっとわくわく冒険気分
こんな事絶対あるはず無い・・・そう思いながら
【ノラ】の背中が心地よい。
星くずがキラキラ輝いて天上から落ちてくる。
地上には・・・タンポポの綿毛が・・・フワフワと。

寝静まった街の一角に悟の家はあった。
【ノラ】は迷いもなくス〜ッと悟の部屋に忍び込んだ。
もう一匹の【ノラ】が悟の懐で心地よさそうな寝息。
悟は・・・決して人に見せられるような寝相じゃなかった。

猫の【ノラ】は気配に気づくと、遅いわよと言わんばかりに大きな欠伸と伸び。
碧はストンと飛び降りると
「さとる、起きなさいよ!」
驚いたのは、もちろん悟。
寝ぼけ眼の目に写ったのはパジャマ姿の碧
「ウワッ!! なんだよぉ〜!!」
そりゃそうだ、男の子の部屋に突然女の子が、それも真夜中。
「急いでよ、時間がないでしょ!!」
時計は夜中の12時半

何が何だか解らず、こんがらがっている悟を尻目に
碧は【ノラ】達にこう言った。
「きっと、あんた達が連れていってくれるんでしょう?!」
鳶色と海松色の瞳の【ノラ】達は返事の代わりに夜空に飛び出した。
いつの世も、土壇場に強いのは女?!

何が何だか解らない悟は、強引に碧に引っ張られて宙を飛んだ!
「げぇぇぇ〜〜〜〜!」
真夜中の瞬く星の彼方にその声は吸い込まれていった。


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