タイトル

お久しぶり♪

果物売り場で商品を並べていた悟の後ろで 「 クスクスッ 」と 笑う声が聞こえた。
エッ?! またかよ
少々、うさんくさい顔で振り返った。
そこには、女子大生っぽい女の子と少年が立っていた。
その、少年の顔を見たとき 悟は思わず

『 オレェェ〜ッ?!』

もう少しで、声を上げるところだった。

似ている! 10歳の頃のオイラにそっくりだ!

「 ごめんなさい、お仕事中 弟にそっくりの方がこのお店にいるって聞いたので。」   

その女子大生っぽい女の子はいたずらっぽく笑った。
隣の男の子はどういうわけか

「 お久しぶりです 」

そう言ってペコリと頭を下げた。

『 お久しぶり・・・って 』

「 バカね、初めましてって言うもんでしょ。 」

女の子が少年の頭を軽くコツンとたたいた。

「 ごめんなさい、言葉をよく知らないもんで・・・ 」

女の子は申し訳なさそうにそう言った。

けれど、その時
少年の揺れるまなざしの奥に悟は碧の眼を見た。

『 エッ?! 碧?! 』

その瞳に吸い込まれるように、碧の声を聞いたような気がした。

『 お久しぶり♪ 宿題は片付いた?! 』

それは・・・一瞬だったのかもしれない。

思わず首を左右に振った
いや、あれは確かに碧の声だ。
もう一度少年の顔を覗いても、あの眼はもうなかった

「 私、須藤 茜 って言います。 こっちは弟の真(まこと) 
お仕事中、申し訳ありませんでした。
本当に、よく似ているって私も思いました。
他人のそら似ってあるんですね。」

明るく、そう言った女の子の言葉に 悟は昔聞いた言葉を見つけた。

他人のそら似・・・

「 お兄ちゃん、時々 来ても良い?! 」

真は、悟が気に入ったのかそう言った。

『 来ても良い?!って・・・ここはスーパーだからいけないって言うわけにもいかないよな。』

正直、困惑気味の悟の顔を見た女の子は

「 初めて会ったお兄ちゃんに、そんなこと言うもんじゃないわよ ご迷惑でしょ 」

そう諭していた。

「 あっ、いや・・・ 迷惑ってわけじゃないけれど、仕事中はちょっと・・・
ボク、今度 休みの日にキャッチボールでもしようか?! 」

悟は自分が何を言っているのか、自分自身が信じられなかった。
こいつと、キャッチボールだって?!
自分の意志とは関係なく口が動いている・・・


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