タイトル

その翌日・・・

星 悟の場合 星

翌朝、母ちゃんの声で目が覚めた!
「さっさと起きなかったら、ご飯ないよ!! 食べずに、学校に行くのかい?!」
いけねぇ、夕べ変な夢見たもんだから、明け方にぐっすりねむちゃった。
悟は急いで飛び起きると、階段を殆ど滑り落ちるようにちゃぶ台に転げ込んだ。

「ヘッ?!」立ったままで、茶碗と箸を掴んだ悟はちゃぶ台の下に何かが動いたのを見た。
おもわず、かがみ込んで覗いた悟は二度ビックリした。
すました顔の子猫が一匹・・・   
「母ちゃん、子猫・・・」
「あぁ、夕べから家の前でミャー・ミャー鳴いてたからさ、家で飼ってやろうと思って
おまえさぁ、その目刺し食べないんだったら、【ノラ】にやっとくれ。」
母ちゃんは、自分の目刺しはきっちり食べといて、
オイラが食べる時間がないのを知って、そんなこと言いやがった!

『なにぃぃ〜〜、ノラだって?!』
「母ちゃん、その猫の名前・・・」
「あぁ、父ちゃんがね、野良だからノラで良いって。 覚えやすいしね、ハハハ」
母ちゃんは、お腹の底から面白そうに笑った。
本当かぁ〜〜?!
オイラは、まだ昨日の夢の続きを見ているんじゃないかと、自分のほっぺたをつねってみた。   
「アタタタタッ!!」思わず声が出た。
「おまえ何やってんだい?! さっさと学校に行かなかったら遅刻だよ!」
「解ったよ!」ランドセルをひったくるように手に取ると急いで表に飛び出した。
ふと振り返ったちゃぶ台の下の「ノラ」は前足の上に長いシッポをクルッと巻いて
当然でしょ、と言うような顔をしてオイラを見つめていた。


星 碧の場合 星

夕べのことが、夢か現実か碧は解らない・・・
でも、現実には絶対あり得ないことだもんね。
妙な納得をして、碧はいつものように学校に行った。
とても、こんな話しはパパやママ、友達にも話せそうもなかった。
『夢、そう夢だったのよ!』
ところが・・・・その夜

「ただいまぁ〜〜」
塾から帰ってきた碧は、玄関のドアを勢いよく開けて飛び込んだ。
プ〜〜ンとキッチンから美味しそうなにおいが流れてきた。
今日のおかずは・・・オムレツかな?!

ルンルン気分で、キッチンに入った碧は一瞬立ち止まった。
足下に・・・
足下にぬいぐるみのような犬がいた。
いつもなら飛び上がらんばかりに喜ぶ碧だけれど
昨日の夜のことが、頭をかすめた・・・

「ウワッ! ママ、どうしたの、この子犬?!」
「パパがね、職場のお得意さんから頂いたんですって
シェットランド・ミニコリーの【ノラ】よ♪」
ママはなんだかとても嬉しそうにそう言った。

「ノラって・・・、変な名前」思わず碧はひと言。
「アラ、碧。この子の【ノラ】って名前はね
イプセンの人形の家って言うご本の主人公、自立した立派な女性の名前なのよ。」
当の縫いぐるみ犬はそんなことは一向にお構いなく
新しい環境に、眼をキョロキョロしていた。

『ノラねぇ〜・・・、本当に来ちゃった。』
月の妖精のルナの化身?!
子犬の顔をのぞき込んでもそんな表情は何も見あたらないし・・・
まぁ、良いか! こんな可愛いワンコが我が家にやってきたんだから。
「茜〜〜♪」碧は妹の茜を呼んだ。
茜は本当は犬が苦手なのです。
でも、縫いぐるみのようなミニコリー、きっと茜も気に入るはず。
やがて、お仕事で忙しいパパを除いて、ママと茜・碧の3人で夕食が始まった。
足下にはノラがクィン・クィン・・・


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