タイトル

ファイヤー・ストーン A

ノラは鳶色の眼で、碧の眼の奥深くまで見つめるようにジッと見つめた。

『 ジカン ガ ナクナッテ キタ・・・』

そう言ったような気がしたけれど、実際はノラは何も言わず目を閉じた。

数日後、碧は夢を見た。
もしかしたら・・・ある程度覚悟した夢だったかもしれない。
銀色キャット・ジジが現れたのだ。   
いつものように、いたずらっぽいジジじゃ無く 神妙に碧に語りかけた。

「 ファイヤー・ストーンが見つかったようじゃな。
2回残っておるツインタイムでいつでも使うことが出来る。
望みは叶えられるだろう。

方法は、天の川にふたつのファイヤー・ストーンを笹舟に入れて流す事じゃ。
すると、ふたつのファイヤー・ストーンは星の波間に吸い込まれ   
引き合うように力を持って天空でひとつになりはじけて消える。
望みはまさしく叶えられよう

しかし、それと同時に失う物も有る。
ひとつは記憶、悟と出会った記憶はお互いみんな消える・・・
そして、碧は今の世界に残ることが出来ん。
たとえ、我らのミスとは言え一卵性双生児の男女はあってはならぬのだ。
どちらかが消えねばならぬ。
ファイヤー・ストーンは石そのものが持ち主を選んだ。
つまり・・・選ばれし者なのだ。

ただ、もしおまえがファイヤー・ストーンを
使わないと決めたときは、何も起こりはしまい。
おまえはここに残ることが出来る。
ファイヤー・ストーンの存在を知ると同時に
ツインタイムが終わると、その間の記憶は消滅する。
おまえ達が出会ったすべての人々の記憶からもな
そして、もう悟とも生涯出会うことは無い。
どちらを選ぶかは、碧自身が決める事じゃ。

仮におまえがいなくなっても、
両親の記憶からおまえの存在そのものも消えるので、辛いとか悲しいと言うことも無かろう。
田舎のおじいちゃんとも仲直りして上手く暮らしていくだろう。
辛い選択をせねばならんが、碧ならどちらになっても耐えてくれると信じておる。

思わず、碧はジジに問いかけた。


「 私は・・・死ぬの?! 」


「 死ぬと言う考えは正しくない、この場から消えるだけじゃ 」

フウ〜ッと、碧はため息をついた
13歳になったばかりの自分にはかなりきつい選択・・・
夢・夢だよね
ツインタイムは何でもありなんだから、これもその一興?!
いつの間にかジジはいなくなって、混沌たる心の暗闇が待っていた

ノラが碧の顔をペロペロ舐めた。

「 大丈夫、どちらを選んでも 碧が傷つくことは無いから
それに、最後のツインタイムまで時間はあるよ
しっかり考えてね  」

確かにそう言った・・・心に響いてきた。


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