タイトル

ファイヤー・ストーン

いつの間にか梅雨も明け、真夏の太陽がギラギラし始めた。
碧は旧盆前に、家族全員でおじいちゃんの所へ行くことになった。
その日は、遅れていたおばあちゃんの七回忌も行うことが決まった。
ママと電話をしているおじさんの声が、
電話口から漏れて「 ホッとしたよ。 」そう聞こえてきた。

この間のツインタイムで、おばあちゃんは心配ないよって励ましてくれたけれど
碧はおじいちゃんの心の中がずっと閉ざされている・・・そう思った。
きっと、おじいちゃんはおばあちゃんに謝りたいのに謝れなかったことを悔いているんだ。   
もう、ツインタイムは2回しか残っていない。
悟はかまわないと言ったじゃない、
せめて夢の中でおばあちゃんに会わせてあげることは出来ないのだろうか。
何か方法が・・・あるはず。
良くわからないけれど、きっと方法がある そんな気がするのだった。

その夜、パパが8月8日におじいちゃんちに行く事が決まったって、話してくれた。
法事が8月9日に決まったのだ。
なんと、最初の夜はツインタイムの日♪
悟とかなり離れてしまうけれど、きっと大丈夫なんだ。
法事の前日とツインタイムが重なり合うなんって・・・やっぱり何かあるよね。
『 方法・・・ 方法・・・ 』   
いくら考えてもどうすれば良いかわからなかった。

机に座って、ノートに赤いボールペンでグルグル円を描いた。
空(くう)を見つめながら、何度も描いていると円は赤い塊になっていた。
「 エッ?! アッ!! 」

「 も・もしかしたら・・・ 」
碧は机の一番上の小引き出しを開けた。
そこは碧の宝箱、小さくて可愛いお菓子の箱に大好きな物を入れてある。
海辺で拾った桜貝やハイキングに行ったときに見つけた瑠璃色の小石。
その中に 「 あったぁ・・・ 」
小さな小さな2粒のピンク色の真珠?! あの鯛のお母さんの涙
夢から覚めても、碧の手の中にあったのだ。
だから・・・大切に、仕舞った。
もしかしたら、これがファイヤー・ストーン?!

ファイヤー・ストーンって何だっけ???
いつかのツインタイムの時、蒼いドルフィンが言っていた・・・
なんって、言ったんだろう?
え〜っと、えっと
碧はあの時間を必死で思い出そうとしていた。

そうだ! あの日最後に鳳凰に変身したドルフィンは確かにこう言った。

「 ファイヤー・ストーンは一度だけ願いを叶える、しかし・・・ 」

しかしの後は聞こえなかった。
自分も悟もファイヤー・ストーンが何か分からなかったけれど
もし、小さなピンク色の真珠がこれなら願いが叶う
おじいちゃんにおばあちゃんを会わせてあげられる!
嬉々として椅子から立ち上がった。

悟に話そう! そう思った碧だけれど・・・
ふと 「 しかし・・・ 」 と、言う言葉が心に重くのしかかってきた。
交換条件?! 
あるいは、何か不都合なことがあるんだ・・・
そして、ファイヤー・ストーンは悟でなく碧が持っていたことも

「 ノラ、何か知っているの?! 教えてよ! 」
ベッドの足下で眠っていたノラは碧の声にフッと顔を上げた。

 

HOME NEXT BACK TOP