タイトル

天の川

10歳の誕生日の夜、銀色キャット・ジジとルナに会った。
あれから三度目の七夕の夜だった。
そして、今年はあの日と同じ満天の星空、
碧は密かに願っていることがある。
でも、それは・・・

今夜もツインタイムが始まった。
気がついたとき碧は天の川の岸にいた。
『 えっ?! ここは?? 』   
碧が心の中で叫んだとき、銀色キャット・ジジが足下でしっぽを巻き付けた。
「 すっげぇ〜、 綺麗だなぁ!! 」
悟が感嘆の声を上げた
ジジが碧の心の中を覗いたようににささやいた。
「 会いたいんだろう?! 」

「 えっ?! でも・・・ 」
碧はちょっと言いよどんだ。
だって、碧が会いたいと思っているのは碧の個人的な思いで
悟とのツインタイムで共有すべきものでは無いと思っていたのだ。
その時、悟が振り向いて言った。
「 俺のことなら気にすんなよ 姉ちゃんに従うからさ。 」   
笑いながら、【姉ちゃん】にめっぽう力を入れていた。
そう、碧が会いたいのはパパのお母さん つまり碧のおばちゃんなのだ。
でも、それは悟には関係ないからツインタイムでは叶えられない。
そう思っていたのだ。

その時、天空のはくちょう座が翼を広げて羽ばたいた。
羽ばたくたびに、星の雫をキラキラ地上にちりばめて
二人の前に降りてきた。
ジジは優しそうにはくちょうの首をなでた。
「 向こう岸まで二人を運んでくれるかの。
待っている魂がおる・・・ 」
はくちょうは頷くように優しい目を二人に向けるとふわっと舞い上がった。
『 行ってくるがよい 悟にとってもまんざら無縁じゃあるまい。』
そうつぶやいたジジの声は悟には届いていなかった。

まるでダイヤモンドの川? 天空に現れた大きな川はどこまでも果てしなかった。
その昔・・・今もだろうか・・・
彦星が織り姫に会いに渡ったという伝説。
その川を今二人は、天空のはくちょうの背にに乗って向こう岸に渡っている。
会いたい人は向こう岸にいるのだろうか・・・

やがて、はくちょうは羽ばたきを止めた。 川を渡ったんだ。
二人ははくちょうの背から降りると、ジッと向こうを見つめた。
すると、人影とはとても思えないけれど何となく温かな光がボォっと現れた
碧は恐る恐る、その光に向かって呼びかけた
「 おばあちゃん?! 」
返事の代わりか、光が少し増し人型になったような気がした。
「 会いに来てくれたんだね 」
おばあちゃんだ! 
どうしても聞きたいことがある・・・

ツインタイムの時間はそう長い時間じゃない。
碧は焦るように声を上げた。
「 おばあちゃん、聞きたいことがあったの
おばあちゃんは、おじいちゃんのこと・・・恨んでいるの? 」
思い切って喉に詰まっていた言葉を口にした。

「 碧、天上に戻った命には恨みとか憎しみなんって無いのよ。
おばあちゃんは、おじいちゃんが今でも大好きだし
みんな幸せになって欲しいと思っているわ。 」
「 でも、おじいちゃん おばあちゃんのお葬式も出なかったんだよ。 」
やっと碧はそう言った
「 おじいちゃんは、魂のない抜け殻のおばあちゃんは見たくなかったんだと思うの。
おばあちゃんには、おじいちゃんの気持ちよ〜〜くわかっているからね。 」
「 でも・・・きっと、おじいちゃん後悔していると思う。
だから、パパとも音信不通になったんだ。
私、仲直りして欲しいの。 」
やっとそこまで言った。

「 大丈夫よ、おじいちゃんもパパも信じなさい。
おばあちゃんは天命だったのよ。 
何時も二人を空から見つめているわ 」
『 えっ?! ふたり?? 』

あっ、時間がゆがんだ・・・

「 待って! おじいちゃんと夢の中で会って!!」
碧の言葉は時間のひずみの中にかき消えていった

 

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