タイトル

ゆき C

春休みのある日、碧と悟そして千佳の三人で校長先生のお家を訪ねた。
広い庭先に、真っ赤な屋根の犬小屋・・・
あれれ、それも新品みたい♪
「校長先生、こんにちは〜〜!」
三人は仲良く一緒に声を上げた。

「おぅ、おぅ、来たか!!」校長先生も笑顔で迎えてくれた。
ん?その時、校長先生が目をまん丸くした。
ふふっ、悟は同じ小学校じゃなかったから・・・   
「君は、誰かな?! 碧君と同じ顔??」
「校長先生、碧と悟君は双子なんですって。」
千佳がいたずらっぽく言った。
「エッ?! 双子って・・・男と女の子の?」
校長先生は益々目を丸くした。

【ゆき】が子供達に気がついてしっぽを嬉しそうに振って「わん!」と吠えた。
千佳が急いで、【ゆき】の側に走り寄っていった。
「ゆき、ミミは元気だからね。」
千佳のうちに引き取られた子犬は【ミミ】と名付けられて幸太の大切な友達になった。
家に引きこもりがちだった幸太は【ミミ】を連れて朝夕散歩をするようにもなっていた。
そんな千佳の話し声を聞きながら、校長先生は何とも不思議な気持ちだった。

「校長先生、そんなに目を丸くしたら目が飛び出しちゃうよ!」   
笑いながら、碧は言った。
「校長先生、私と、悟・・君が似ているのはちょっと事情があるみたい(クスッ)
でもね、ご心配なく。一応他人同士ですから♪」
それでも、納得できない校長先生。
ふたりを互い違いに見比べては、なんだか嬉しそうに笑い始めました。
「わはははっ! イヤ〜〜、実によく似ておる。神様のいたずらかな?!」
ふたりは、校長先生の言葉にちょっとドキッとした。
校長先生、ふたりの秘密を知っているのかしら。

「すっかり、わしにも慣れて別れるときが辛くなるかもしれんの、ゆき。」
そう言って、校長先生は【ゆき】に顔を向けた。
【ゆき】は知ってかしらずが、
同じように黒鳶色の目を輝かせてちぎれんばかりにしっぽを振った。
【ゆき】が校長先生の家にいるのも後数週間・・・

帰り道、悟が碧に言った。
「ゆき、四国のどこへ行くんだ?!」
「う〜〜ん、まだパパ言ってくれないの。
ママもね、その時までお待ちなさいって。その方が嬉しいわよ。って言うんだけれど
5月の連休・・・私も連れて行ってくれるのかしら?!」
ちょっと期待している碧ですが・・・どうなるのかな?!

悟の家の近く・・・曲がり角
ウワッ!! ノラがサンマを1匹くわえてこっちに向かって猛スピード
悟を見つけて、思わず急ブレーキ。
その弾みで、口からサンマを落としてしまった。
「こらーっ! またオイラのおかず〜〜!!」   
碧と話していたことなんかすっかり忘れて、悟はノラを追いかけた。
ノラもサンマをくわえ直すと一目散に走って逃げた。

後に残された碧は、くすくすお腹を抱えて笑った。
『アァ〜〜、今日も良いお天気♪』
そう心の中でつぶやいて大空を見上げた。
一筋の飛行機雲がどこまでも白い線をたなびかせていた。
もうすぐ、中学校の入学式。桜も満開


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