タイトル

約束

4月に入った・・・碧も悟も落ち着かない。
なぜって、ホラッ、クヌギの爺さんとの約束、タンポポさんのお願い
きっと、もうタイムリミット・・・
だって、明日は4月4日。
碧も悟もお互いの【ノラ】に訊ねてみる。
「大丈夫かなぁ〜?!」
【ノラ】達は返事もしないで、大きな欠伸をして自分の両手のなかに顔を埋めた。

だって・・・ツインタイムで助けた命は・・・
ウサギのぴょんたと鯛のお母さん
約束の三つの命はまだひとつ足りない。   
どうしよう・・・ふたりの心の中は不安が一杯広がっていた。

『サァ、ミドリ、イコウヨ♪』
【ノラ】が枕元でそう囁いた。
あれ? 眠れなくって何度も寝返りしていたはずなのに・・・
いつの間にか眠っていた・・・
今夜は4月4日、窓の向こうから悟と【ノラ】もやってきた。

「おい、ノラ。 早く連れて行けよ。約束の時間が・・」
悟は不安そうに言った。
もちろん碧も同じ心境、(‥ )ン?やっぱり双子かな?!
ふたりを背中に乗せた【ノラ】達がクスッと笑ったのは気のせい?

銀の小粒が舞い落ちる空をどのくらい翔ただろう。
辿り着いたその場所は・・・クヌギの爺さんの前
碧と悟はお互いの顔を見つめつばを飲み込んだ。   
だって・・・まだ約束が果たせていない。
クヌギの爺さんの緑の葉っぱは目をさましたばかり
小さな息吹が所々に感じられた。

「おぅ、やってきたか。ツインズ」

愉快そうに、クヌギの爺さんはそう言った。
碧と悟はなるべく身体を小さくして小声で言った。
「あのね、クヌギのお爺さん・・・約束が・・・」
ふたりが言い終わらないうちにクヌギの爺さんがこう言った。

「さぁ、サクランボの苗木を取っておいで。 わしの隣に植えるがよい。」

「えっ?!」
ふたりは同時に声を上げた。だって・・・約束が。

「おまえ達は立派に約束を果たしたさ。夢の中でウサギのぴょんたと鯛のお母さん。   
そして現実で犬の親子。ちゃんと見届けたよ、のう、銀色キャット・ジジ殿」


大きな体をゆさゆさ揺らしながら、嬉しそうにクヌギの爺さんは月を仰いだ。
春雨が銀の糸のように細かく揺れながら落ちてきた。
雨に濡れた月のムーンロードから銀色キャット・ジジがゆっくり・・・

「そうさな、約束は果たせたよ、ツインズ。さぁ取っておいで♪」

銀色キャット・ジジは長いシッポをピンと天空に立てるとくるくるっと回した。
あぁ〜・・・
碧と悟が目にしたのは、あのサクランボの苗木が・・・
嬉しそうにタンポポさんと一緒に大空を舞った。
『ウソッ!?』と内心思いながら、ふたりは手をさしのべた。
すると、その苗木は当然のようにふたりの手の中にストンと落ちた。
クヌギの爺さんと同じようにサクランボの苗木にも
新しい赤ちゃんのような柔らかな新芽が伸び始めていた。

翌朝・・・
碧と悟のお布団には・・・土の匂いがしたんですって♪


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