タイトル

ゆき B

やがて・・・卒業式の日。
どんなに辛くても、悲しくても【ゆき】と別れなくてはいけない日
みんなで捜した、本当に捜した・・・でも
成犬の【ゆき】を受け入れてくれるところはなかった。
今日の卒業式の後・・・

卒業式が始まった。
卒業生の入場行進。
あれぇ〜?! パパが校長先生の側で何か小声で・・・   
短い会話だけれど、校長先生がニコニコ頷きながらパパと握手した。
こんな時に、いったい何お話だったんだろう。
やがて、卒業生全員が着席した。

式は進んで校長先生のお話
ところが・・・校長先生の最初のひと言は全く思いがけないものだった。
「今日卒業する児童達にプレゼントがあります。
実は今年の二月雪の降る日、学校の体育館の横に親子の捨て犬がありました。
本来なら、すぐ保健所送りなのですが・・・
あるクラスの児童達からの強い要望で子犬達の里親捜しが始まりました。   
担任の先生と、親子の世話をしたり、ポスターを書いたり
そして、小犬たちはそれぞれ里親が見つかりました。
ただ、親犬は見つかりませんでした。

卒業式の前日まで、この親犬のために児童がした努力
出来れば報いてやりたいものです。
どんな教育、言葉よりも目の前の命を救うことが何より大切だと私は思うのです。
私は、実はこの親犬を預かる覚悟で今日学校にきました。
ところが、あるご父兄のお言葉で彼女は海を渡って四国のある山の村に行くことになりました。
お仕事の都合でGW迄私が預かることとなりますが
皆さんが慈しんだ【命】は皆さんの心とともに羽ばたきます。」

「やった〜〜っ!!」
会場一杯に子供達の歓喜の声があふれた。
あれ? 今日は卒業式なのに・・・
とてもそんな雰囲気ではありません。
演壇の片隅にはみちこ先生に連れられた【ゆき】が誇らしげに座っています。

もしかしたら・・・パパ?!
ママが言っていたことはこのことだったんだろうか。
海を越えて行くんだって♪
卒業式の厳粛な気持ちはどこかに吹き込んでしまったけれど
きっと、最高の卒業式の想い出になったと思う。
『悟、【ゆき】も卒業だよ!!』
心の中で、碧は思わず叫んだ。


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