タイトル

ゆき @

その日の夕食碧達は、珍しく早く帰ってきたパパと一緒に食卓に着いた。
「どう? 子犬たち飼ってもらえるようになった?!」
パパが心配そうに碧に訊ねた。
「うん!(^^)・・・子犬たちはね、千佳を始め何とか見つかったの
でも、問題は親犬なの。 子犬は貰ってくれても親犬は・・・」
碧は言葉に詰まった。   
もしかしたら、校長先生の猶予期間の間には無理・・・
あるいは見つからないかも知れない。
と言うことは・・・

パパは、碧の心境を察して「う〜〜ん」と唸った。
「あのね、パパ。碧がいうにはね
そのお母さん犬【ゆき】ってみちこ先生が名付けたんですって。」   
ママは何か思うところがあるのか、そうパパに話した。
「そうか・・・ゆきかぁ・・・」
パパはどこか遠いところを見つめているようだった。

「大丈夫、パパが何とかしてくれるわよ。」
ママが小さな声で囁いた。
何とかしてくれるって・・・
家じゃ飼えないし、ママはどういう意味で言ったんだろう。
でも、考えるだけじゃダメなんだ、明日また捜そう。
そう碧は決心した。

その頃、みちこ先生に一本の電話がかかっていた。   
「アッ! 校長先生・・・ 申し訳ございません。
子犬たちの里親は何とか決まったのですが・・・
母犬が、まだ見つかりません。   
私も捜しますので、もうしばらくお許しください。」

てっきり、期日の迫ったことの確認だと思ったみちこ先生は
電話口でぺこぺこ頭を下げて懇願した。
電話の向こうで校長先生の笑い声が聞こえてきた。
「ははは・・・みちこ先生 私はそんなつもりで電話をしたのではないのですよ。
放課後の課外授業見せていただきました。
みちこ先生のおっしゃるとおりです。
なかなか、血の通った教育でしたぞ。
最近では、学力至上主義が多いなか私は感心しました。
それで、ひとつの提案をと思ってお電話を差し上げたのです。」

「はっ?!」みちこ先生は一瞬校長先生が何を言っているのかわからなかった。
つまり、もし親犬の貰い手が現れなかったら
とりあえず、碧達の卒業式までは置いてやろうと言うことになった。
もちろん、里親を捜す条件で・・・
卒業式は・・・三月十八日 ほんの少しだけれど猶予期間が増えた。

そう言えばもうすぐ三月。
悟とのツインタイム、クヌギのおじいさんとの約束ももうすぐ期日だ。
碧はみんなとの約束、果たせるのか不安になってきた・・・
ベッドに潜ってもなかなか寝付かれない。
足下でノラが「クィ〜〜ン」と鳴いた。

階下で・・・パパがどこかに電話をしていた・・・


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