タイトル

正月

「サトル〜〜、起きといで〜〜!!」
大晦、あんなに忙しかったとうちゃんとかあちゃんは元旦だけは朝寝すればいいものを
今朝も、早くから起きてら・・・
オイラのうちは「豆腐や」しかも、昔ながらの固豆腐
最近のスーパーのソフト豆腐と違って噛みごたえもあるし、味もある。
ちょっとオイラにとっては自慢なのだが、どうやら生活は大変そうだ。
かあちゃんは米が無くなったら「おから」を喰うという。
やりかねないぞ、かあちゃん。

元旦だけは家族揃って、少しばかりの祝い膳を頂く。
かあちゃんはスーパーのお節は買わないで、数は少なくても手作りが並ぶ。
「元日ぐらいはね」かあちゃんは笑いながらそう言った。   
お節なんって、本当は美味しいとは思わないけれど
かあちゃんの努力(?)だけは認めてやんないとな・・・なんって思いながら席に着いた。
来年は、兄ちゃん大学受験らしい。
学者になりたい兄ちゃん、と言うことはオイラが豆腐屋を継ぐのかな?!
それも良いか、オイラ勉強好きじゃないし。

「明けまして おめでとうございます。」
とうちゃんのひと声でみんなが一声に「おめでとうございます。」
とうちゃんはニコニコ顔で、ポチ袋を兄ちゃんとオイラにくれた。
まぁ、決して多い額ではないけれど(兄ちゃん5000円・オイラ3000円)頂いておこう♪
でもなぁ、今月分の小遣いをくれないから、殆どチャラだ。

正座した膝元にノラが顔をすり寄せて「にゃ〜〜ん」
「かあちゃん、ノラもお年玉って!」   
「アイヨ、じゃあ、何をやろうかね。人間と同じものはダメだから・・・」
「あれ? 同じものじゃダメなんだ。」オイラは不思議そうに訊ねた。
兄ちゃんが「大きさが違うからな、同じ味付けじゃ、かなり塩分も糖分も多いんだよ。」そう言った。
なるほど・・・でも、こいつオイラのおかずいつも盗むんだけれど?!
結局ノラは鯛の姿焼きをかあちゃんにほぐして、貰った。
猫でも鯛・・・やるじゃん、ノラ
振り返ったノラの瞳がキラッと輝いた。

さぁ、今夜は何が始まるかな?
何となく「ツインタイム」が楽しくなってきた悟。
ウサギ小屋事件の翌日、教室で会った昇はえらく神妙だった。
「悟・・昨日の夜中、会ったよな?」小さな声で昇は言った。
「なんのことだぁ?!」オイラはとぼけてやった。
昇はホッとしたような顔をしたけれど、内心まだ信じていないような気もした。
「冬休み中のウサギ当番、ちゃんとやるから」昇は顔を真っ赤にしてそう言うと走っていった。
『ぴょんた、もう大丈夫だぞ・・・』

あの日の碧、オイラには眩しかったな。
オイラはあれだけ言えなかった・・・
3つの命を救う・・・あとふたつ
ノラ、今夜はどこへ行くんだ?!


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