タイトル

二の糸 C

何がどうなったのか、良く解らないまま一夜が明けた。
しかも、一睡もしない夜が・・・
その時の私は、頭の中に莫大な慰謝料のことが頭の中でまわっていた。
それに、相手のご主人から怒鳴り込んでこられることも恐る恐る覚悟した。
いったい・・・私は・・・いつになったら解放されるのかとも。

ところが、事は意外な展開となった。
数時間後、相手とその老母がやってきた。
『困ったことにならなければいいが・・・』   
それがその時の本心。

話を聞けば、とうの昔に壊れていた家庭らしい
「ぼんくら」は相談に乗っているうちに・・・である。
よりによって13歳も年上と。
相手に分別をもって欲しかった・・・
どう考えたって、うまくいくはずがない。
普通の親なら・・ そうでなくも反対するだろう。
なぜかその時の夫と私は、この状況を受け入れた。

思考が止まっていたのか、現実を直視することが出来なかったのか
今となっては、あの日は霧の中のような気さえする。
あるいは、理解したように善人ぶったのかも知れない。
相手の老父は糖尿病で今もベッドの中だという・・・
しかし・・・夫婦というのは得体の知れない生き物。
月収40万円を棒に振るなんって・・・

何度か話を交わすうちにご主人の【アルコール・暴力・博打(?)】が原因らしい。
ただ・・・このことは片方からの情報、本当のことは解らない。
夫婦間のことは第三者には解らないことが多い。
人がそれに向かうのも、あるいは家庭に原因があるかも知れない。
「ぼんくら」のことがあってもなくても、離婚は時間の問題だったとか。
それなら、親としては巻き込まないでいて欲しかった。
私の本当の気持ち。
それでも嫌でも時間は過ぎ、事は前に進んでいった。

やがて、相手のご主人の下に残っていたこども達ふたりが家出。
ご主人にすれば面白くもなかったのだろう。
母親への悪態三昧の毎日。
一番上の兄はともかく
中学の姉と小学生の弟は聞くに堪えなかったのだと思う。   
深夜、ある田舎の駅舎にもてるだけの荷物を持った姉弟が保護された。

それから以後は・・・離婚調停に厳しい1年が待っていた。
しかも、相手は心臓のバイパス手術まで余儀なくされた・・・
あきらめに似た境地で、この家族に後押しをしようと思っていた私たち。
夏にはこども達を1泊旅行にも連れて行った。
諸手を挙げてではないけれど、何とか理解しよう、受け入れようと・・・   
しかし・・・弟たちはキッパリ否定した。
「兄ちゃんを【兄】として認めない!」

見る間に季節は変わり、やがて2年が過ぎ離婚が成立した。
その頃彼らはすでに同居(同棲?)生活を始めていた。
つまらない喧嘩で相談を受けたり、本当に大丈夫なのだろうかと疑問に思ったある日
それは突然、私の心に刃を突き立てた。
やがて・・・
私はこの家族との別離&拒絶へと向かうのだった。
祝福されなかった小さな【命の誕生】


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