タイトル

その夜・・・

なんだかからだが軽くなった・・・
チビはそんな気がしたのです。
ずっと、なぜか解らないけれど
大きな石を背負っていたような三週間

マムがお風呂に入る前様子を見にきて、
「よく頑張ったね。もうすぐ楽になるからね。
いつかマムも後から逝くから、待っててね・・」
そう言って優しく頭と鼻をなでてくれました。   
チビはとても穏やかな気持ちになって目を伏せたのです。

マムもいなくなった薄暗い車庫に
お月様から一筋の光の道が・・・
ムーンロードがまっすぐチビの元に引かれました。
白内障で濁ったチビの瞳にもうっすら見えます。
それに・・・なにやら向こうからやってきます。

おやおや、白髪の老人の前を行ったり来たり
2匹の犬が転げそうに降りてきます。
何だろう?!
でも、不安はありませんでした。

飛び込むように駆け込んできたのは・・・
驚いたことに以前いた「シェットランド・ミニコリー」のゴンでした。
「チビちゃん、迎えに来たよ! ほらっ!クロ兄ちゃんも来てる♪」
嬉しそうにはねています。
その後ろからうさんくさそうに、ゆっくりとクロが・・・
「オイラはおまえさん知らないから行かないって言うのに
こいつが行こうってきかないんだ・・・」
そう言いながら
クロはまんざらでもなさそうに周りを眺めたのです。
「ヘッ! 以前とちっとも変わってないじゃん。」
クロは苦虫をかみ殺したような声を出しました。
けれど・・・何となく嬉しそうなのです。

「これこれ、年寄りを放って行くやつがあるか・・・」
息を切らした老人がやってきました。
「神様、チビちゃんだよ。」ゴンは得意そうに言います。
「ふむ、のうチビ・・・そろそろ逝くかの?!」
「神様?! 逝くって・・・?!」とチビは訊ねました。
「そうじゃの、ふるさとに帰ると思えばよいかな?!」
「マムにサヨナラを言わなくっちゃ・・・」
「大丈夫じゃよ、マムには解っておる」
「うん・・・」チビはゆっくり頷きました。

月の妖精ルナが神様から【いのち玉】を預かりました。
そして、そっとチビの側に置くと・・・・
【いのち玉】は虹色に輝いてチビの魂を抜いていきました。
チビがはっと気付いたときは
【いのち玉】の中から自分を見つめていました。
神様が一言「お帰り、我が子」そうつぶやきました。

やがて、ムーンロードを三匹の犬と神様、その後から
妖精ルナが天上に還って行きました。
ムーンロードの光が消えた数分後・・・
ダッドがマムを呼びました。
ふたりが見つめたチビは眠っているようでしたが
息はしていませんでした・・・


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