タイトル

プロローグ

夏の陽射しがやっと山の向こうに落ちた頃
小さな田舎の小さな街で・・・   
一匹の柴犬の命の灯火が後わずかになっていました。
名前は「チビ」今年の春で12年になりました。

今年の夏はことのほか蒸し暑くって、雨も降らず・・・   
チビ本人(本犬)も飼い主のマムでさえ
「夏バテ」かなと思っていたのです。
散歩の足取りがだんだん重くなってきているのが
傍目にも解るようになったとき、やっと気付いたのです。

ほんの三週間前、他の三匹の犬たちと川遊びもしたのに・・・
いつの間にか、若いやんちゃ坊主の
Ciro達について行けなくなりました。
マムは「チビ」より年上の「ラッキー」と一緒に
ゆっくり短めのコースを朝晩選んで歩き始めました。
・・・でも、それさえ一週間後にはもう無理でした。

そのときマムははっきりと解ったのです。
「チビ」との別れが来たって・・・
信じることが出来ませんでした。
「チビ」は、まだ12歳。
「ラッキー」の方がずっとお姉さんなのに
今年も去年と同じように一年が暮れる・・・
そう信じて疑わなかったマムなのです。

でも、残った時間を急ぐかのように
チビの歩行は心許なくなっていきました。
そして帰らぬ旅の準備が始まっていることも・・・

「チビ」の本当の病名は解りません。
マムはお医者には連れて行きませんでしたから。
強心剤を打って4〜5日命を長らえるより
自然のまま逝かせてやりたいと思いました。

もしかしたら「フィラリア」の末期症状かもしれません。
この病気には完全な予防薬もあって
本当は防げる病気なのです。
・・・でも、マムは
4匹の犬それぞれに一錠1000円の薬を半年間(6錠)
飲ますことは経済的に出来ませんでした。

その上、ここには元捨て猫達も・・・沢山いたのです。
マムはこのお家のことを
【The orphanage(孤児院)】と呼んでいます。


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このコーナーの壁紙用photoは発進!かこしらべ通信からお借りしました。