タイトル

一等大切なことB

「さて、三時限目。もう一つ大切なこと・・・」
神様はちょっと考えながらひとこと。
「それは【キーワード】かも知れぬ。
さて、おまえ達は今夜【命の泉】
そう、【再生の泉】で新しい“いのち玉”に
生まれ変わることも出来る
どうじゃな?!」

三匹は一斉に首を横に振りました。
思わず、お互いを見つめ合った三匹・・・
『どうしてなんだろう・・・』   
何もかも昇華されて新しい“いのち玉“になれるのに。
また地上に戻れるのに・・・
でも、クロもゴンもチビもまだ行ってはいけない
そんな気がするのです。
それは、いったい・・・

神様は微笑みながら三匹の犬たちに話されました。
「それはな、マムの言葉にあるんじゃよ。
そして、それこそが家族の絆。
覚えておらんか?!
マムがおまえ達に伝えた言葉を・・・」

チビはその時ふとあの夜がよみがえってきたのです。
ムーンロードが輝く数分前。   
マムが言った言葉・・・
『今に楽になるよ。マムもいつか逝くからね、待っててね。』
もしかしたら・・・

チビは小さな声でつぶやきました。
「待っててね・・・?!」
クロもチビも、思わずいっしょに
「待っててね!」
そう、確かにマムはそう言ったのです。
いつかマムも来る・・・
そんな安心感が、ずっと苦しかった気持ちを楽にしてくれた・・・
三匹の犬たちはそう思ったのです。

だから、天上に還るのも怖くはなかった。
また、いつかダッドもマムも来る。
天上で懐かしいみんなと会える・・・
どこか嬉しさが湧いてくるのです。

「チビが見たという女の子、
しかし顔ははっきりしなかったであろう?!」
クロとゴンはなんのこと?!
目を白黒させています。
「うん・・・」チビは小さく頷きます。
「あれは、マムの心の幻、面影。
生まれるはずの命が地上に立つことなく天上に還った・・
マムはそれを知っておって、その儚い命にも
おまえ達と同じように声をかけたのじゃ。
『待っててね・・』と。

しかし、地上に立つことの出来なかった命
肉体を得るまもなく還った命は形がないんじゃよ。
そのまま【命の泉】で新しい“いのち玉”に再生して
恐らく地上に戻っておる・・・
幸せになっておるはずじゃ。

マムの心の幻・面影はいつか時間が癒やしてくれる・・・
ダッドやマムが天上に還るまでには
地上ではまだずいぶん時間がかかる。
それに、ダッドやマムはこちらに送り届けなければ
ならぬ命を沢山預かっておる、そうであろう?!」
三匹の犬たちはコックリ頷きました。
地上にはまだ、犬が三匹、猫は・・・沢山(^^;)
ダッドとマムはもうこれ以上は飼わないと言っていたっけ。
自分たちの命のあるうちに責任取れる最低限度だって
ダッドとマムと僕たち・・・

「天上では時間という感覚がない。
だから、おまえ達が待ちくたびれるという事もない。
ダッドやマムはすぐ来るかも知れぬし、
まだまだ先かも解らぬ。
どうじゃ、『待ってる』かの?!」
「ワン(はいっ)!!」
三匹は元気よく声をそろえました。


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