タイトル

母の幸せ

母(養母)の幸せってなんだったんだろう。
今も我が家で自分の領域だけを守っている母。
年を重ねればなおのこと・・・
今の状況は、母にとって「幸せ」という域では決してない。
もし、一人で暮らせる家があって
一人で暮らせる健康があって
一人で暮らせる金銭的な余裕があれば・・・
それは、母にとって最上の「幸せ」
でも、そんなにうまくはいかない。
母もまた、6人兄弟姉妹の末っ子
しかも上ふたりの兄とは母親が違った・・・

ただ、薫子と違うのは兄や姉と過ごした子供時代があったこと。
末っ子で、甘やかされて育った。
たとえ60歳、70歳になっても
生きている限り兄や姉には甘えた・・・

ライン

母が突然去って、父一人が残された。
それでも父は何をいうでもなく、昨日と同じ日を過ごした。
「お母さん帰ってこんの?」
そう訊ねた薫子に父は
「そうらしい・・・」とポッツリ言った。

しばらくして、父と暮らしたあの街で
小さな旅館の住み込み女中として働き始めた。
年齢にして60歳の母。
父は、恐らく・・・
もう働く意欲は失せていたのではないだろうか。
それに、父のように不満や不平のない人は
誰とでも暮らすことができる。
食べ物も好き嫌いというのがないほど
なんでも頂く・・・   
弓彦と薫子と子供三人、そして父。
弓彦も父と、波もなく生活出来ていた。

けれども、ここに母が入ると
なぜかお互いの心に刃がむき出しになる。
なぜ?
やはり母の性格なのだろうか。

その日常がどんなに大変だったか・・・
話さなくてもおおよそのことは見当が付く。
それに・・・
母は、その年になっても
まだ自分の『美』が他人より勝っていると本気で思っていた。
観光地でもない、個人の家より少し大きいだけの小さな旅館。
客とてしれているだろう。
どんな客か・・・

母は、父との結婚のスタートでつまづいたことで
『性』に対しては異常なほど潔癖性となった。
それは母にとっては『汚い行為』なのだ。
父との生涯で母は
それをほとんど拒否したのではないだろうか・・・
そう言う写真・テレビを見ても
母の顔はゆがんでいた・・・
ある意味では不幸な人。
人の本質の信頼を失った母。


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