タイトル

コンペイ糖の丘

第3章の「コンペイ糖の丘」
このタイトルは
ちょっとした思い入れがあります。
幼い日の思い出ももちろんですが、
日常的に自然に目を向けるきっかけ
それは、主人と出会ったことでした。
おもちゃやお金・・・
そんな物を一切与えられなかった子供時代。
そんな彼らの唯一の遊びが
山の中にありました。

結婚後、と言うか今でもですが
野山の散策は欠かしません。
懐かしい、子供時代の思い出
この章の終わりに小さなお話を載せたいと思います。
ちょっと忘れてしまった、メモリアル・ストーリー

「コンペイ糖の丘」・・・この「コンペイ糖」というのは
「ままこのしりぬぐい」という
とんでもない名前を付けられた花のことです。
丘一杯に咲いていた、その小さな花が
「コンペイ糖」の様な気がしたのです

   ライン

★★コンペイ糖の丘★★

話は昭和30年代前半頃の小さな田舎から始まる。
高度成長期と呼ばれる時代はまだまだずっと先
日本中がまだ貧困と呼ばれたとき・・・
でも、いつの時代でもこども達の明るい笑顔は
キラキラ輝いていた。

「オ〜イ、山行くぞ〜〜」
近所のガキ大将が大きな声で叫んでる。
こども達は食べかけた朝ご飯を
必死でかき込んで表に飛び出していった。
朝ご飯の食卓は・・・
母ちゃんが漬けたコンコ(たくあん)と麦飯とみそ汁。
「母ちゃん、昼戻らんで。健太連れて行くわ!」
そう一声残して達彦は飛び出した。

学校が休みの日曜日の朝、
近所のこども達が一斉に集まってきた。
上は中学生ぐらい・・・下は達彦の弟健太5歳。
健太が雑木林や山にはいるのは大変なことは解っているけれど
達彦の家にはまだ1歳に満たない赤子がいる。
母ちゃんは、この赤ん坊を背負って洗濯や炊事、
畑仕事が待っている。
休日、健太の子守は達彦の役目。

おおらかというか、無頓着というか
こう言って飛び出すこども達を母親達は心配しない。
今なら・・・お昼はどうするのだろう??
一番にそう心配することだろう。
季節・季節によって野山には食べられるものがある。
時には、ちょっとした冒険(?)
山の畑から拝借することもある。
見つかればたいがいの場合大目玉を食らうが
それでも、すばしっこいやつは
目的の物をちゃんと頂いている。
大人達も怒りはするが、笑ってもいる。

里から山にはいるまでに健太はもう歩き疲れてしまう。
先頭の三ちゃんはもう見えなくなりそうだった。
まだ7歳の達彦はそれでもみんなと遅れるのはいやだった。
「ほらっ!」達彦は小さくかがむと
健太に背中を見せた。
健太も「うん!」と負ぶさる・・・
ゼェ・ゼェ喘ぎながら、やっと三ちゃんに追いつくと
三ちゃんは「しゃあないなぁ」と笑いながら
達彦の背中からひょいと健太をすくい上げて肩車した。

道々、三ちゃんは得意そうに食べられるものを教えてくれる。
春には、イタドリ・野いちご・桑の実   
夏には、イチジク・桃・梨・まきの実
秋には、山柿・ヤマブドウ・柴栗・アケビ・蜜柑
冬には、銀杏
そうやってこども達は年代を追って、山の四季を知る。
春にはワラビ取りで、思わぬ家計のたしになることだって。


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