タイトル

ムーン・ストーリー(Jan)

北国に厳しい寒さがやってきました。
でも、ミーシャは温かいお部屋の中で
優しいお父さん・お母さんに囲まれてとても幸せでした。
ある日、ミーシャの小窓の向こうに黒猫が・・・
ミーシャは自分以外の猫を見るのは
動物病院を除いては初めてです。

真っ白な雪の中にポツン・ポツンと足跡を残して
ミーシャの小窓の下まで来ました。
「ミィー・・・」
『ねぇ、あなた。、お外で遊ばない?』
そう誘ったような気がしました。

《クロ》は野良猫です。
お外は氷点下になるこの街にもいるのです。
凍えそうな夜はどこでいるのでしょう?
なんだかとっても心配になりました。
『お家にお入りよ♪』
本当はそう言ってあげたいのですが・・・

「ミュー・・・」
ミーシャはお母さんの所へ走っていきました。
「りゅう、どうしたの?
あら?のらちゃんね。
お腹すかしているかしら?」
お母さんはミーシャと同じご飯を
小窓の窓下に置いてやりました。
2〜3歩警戒して後ずさりした《クロ》ですが・・・
お母さんが窓を閉めると急いで食べ始めました。

「りゅうもお友達と一緒に食べる?」   
お母さんがミーシャにもご飯を置いてくれました。
窓のガラス越しに二匹の猫がご飯を食べています。
ミーシャに初めてのお友達が出来ました。

ライン

凍えそうな満月です。
お月様は銀色に見えます。
『お月様は寒くないの・・・?』
ミーシャはそっと声をかけました。
「ミュー・・・」
お月様は笑って星のツララを
キラキラ輝かせました。

〈クロ〉

寒さでブルッと震えた向こう側に
《クロ》の後ろ姿が見えてきました。
あれ?どこへ行くのだろう・・・
ミーシャは気になりました。
《クロ》はミーシャのお家の庭を出て行くと
路地を抜け、街のはずれにやってきました。

あぁ、ここは・・・
そう、ここはお兄さん・お姉さんが縁日で遊んだ神社の境内です。
小さなお社の雪に埋もれた縁の下を
《クロ》はカキカキしています。
やがて、ポッコリと小さな穴があきました。
その奥で小さな鳴き声が聞こえてきます。
ミーシャは初めて《クロ》がお母さんだったことを知りました。
縁の下の小さな我が家
でも、《クロ》にとっては幸せな我が家です。

お布団もストーブもありませんが
みんなで体をすり寄せて暖を取っています。
『クロちゃん、またおいでよね。
僕、お母さんにご飯ちょうだいって言うから』

ちょっぴり野生に生きている《クロ》が羨ましくなりました。
ミーシャには絶対味わうことの出来ない
何かがそこにはありました。


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