タイトル

ムーン・ストーリー(Oct)

初めての満月の夜・・・
ミーシャは夜そっと小窓にもたれました。
お月様は金色に輝いてうっとりするほど綺麗でした。

ミーシャはまだ知りませんでした。
お月様の満ち欠けのサイクルが29日、
そして、それが生命のサイクルと言うことを・・・

ミーシャの小さな寝息が聞こえてきます・・・

ライン  

〈縁日〉

ミーシャは小さな子供の声で目を覚ましました。
「おとうさ〜ん・おかあさ〜ん、早くぅ〜〜♪」
小さな男の子と女の子が、
お家の中のお父さん・お母さんを呼んでいます。
アラッ・・・このお家は・・・
ミーシャが初めて来た老夫婦のお家に似ています。
でも、なんだか少し様子が違います
お店の中の鏡もピカピカ輝いて
まだまだ新品のようです。

「ハ〜〜イ」』
明るい声で出てきたお父さんとお母さん。
ミーシャは少しびっくりしました。
だって・・・ミーシャの知っているお父さんとお母さん、
顔にはちょっぴり皺があって、髪には白いものが混ざっています。
でも・・・今見たお父さんとお母さんは
皺もなければ、髪の毛も真っ黒です。
ずいぶん顔も生き生きしています。

そうか! ミーシャは気が付きました。
「今、僕が見ているのはズーッと昔なんだ。」

今日は縁日です。
お父さんとお母さんのお仕事のおやすみは月曜日です。
滅多に子供達のおやすみとは合いません。
でも、今日は秋祭り。
お父さんとお母さんはお客様にお断りの張り紙を書きました。
『秋祭りに付き 午後からお休みします』

子供達が嬉しそうに
お父さん・お母さんの周りを飛び跳ねています。
「ねぇ、ねぇ、おかあさん。金魚すくいしても良い?」
小さな女の子が尋ねました。   
「もちろんよ!」
お母さんも楽しそうに答えました。
「よ〜し、僕とどちらが多すくえるか競争だ!ネッ、お父さん」
お兄さんらしい男の子が
お父さんの後ろに隠れるようにして言いました。

縁日が近づくと、ふたりは手を繋いで走っていきました。
その後を、お父さんとお母さんが
幸せそうにいつまでも見つめています。

ライン

ふっとミーシャは目覚めました。
遠い昔のお父さんとお母さんを見て
なんだかミーシャもとっても幸せな気持ちになりました。
『お月様、有り難う』
ミーシャはいつものように「ミュー・・・」と鳴くと
お母さんのお布団に潜り込みました。

不思議なことに、その夜・・・
お母さんも、ミーシャと同じ夢を見ました。
寝ているお母さんの閉じた瞼から
ひとしずく、真珠色の涙がこぼれました。
・・・でも、お母さんの顔は
かすかに微笑んでいるようでした。
ミーシャはなんだかとっても安心して
お母さんの懐で眠ることが出来ました。


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