タイトル

神様の贈り物

最後のお月様の物語の数日後・・・
ミーシャは小窓でうたた寝をしていました。

『のう、ミーシャ・・・』
神様の声が聞こえてきました。
ミーシャはハッとして飛び起きました。
神様はいつもの穏やかな顔でこうおっしゃいました。

『地上での生き方の善し悪しが
天上での【魂の浄化】の時間の長さなんじゃよ。
万物すべてが、言わばリサイクルでな、
わしは捨てるものは何もないのじゃ。
うん、これは自慢して良い!

赤ん坊は、何も知らぬ無垢の心で
地上に舞い降りる・・・
じゃが、生き方は千差万別よのう・・・

一番浄化が早いのは植物でな、
それが証拠に
冬、どんなに枯れ野原になろうとも
春が来れば、大地から芽を吹く。

植物はそこに生まれて、ただ咲くだけじゃ。
見栄もなく、ねたみもない・・・
自分の身の丈にあった、命を育む。
精一杯咲いて、枯れていく。
なんと単純で、美しいことよのう・・・

すべての生き物がこのようであってくれたら
わしは、いつもそう願っておるのじゃがな
どうも思い通りにはいかん。

生命・・・つまり魂は
死ぬとな、しばらくは天上で休暇を与えられるのじゃ。
地上での思い出を慈しむ時間・・・
そして・・・生命の浄化
ふむ、おまえが見た天ノ川の【生命の泉】じゃ 。
そこは、言わば温泉のようなものじゃ。
そこにゆっくり身を沈めるとな
だんだん魂が浄化されていく。
記憶もなくなっていくのじゃ・・・
浄化された魂は【あぶく】となって再生する。

おまえは気付いたかな?
今のおまえは・・・だれの魂
つまり・・・だれの生命を繋いでおるか?!』

意外な神様の言葉に
一瞬、ミーシャは面食らったけれど・・・
もしかしたら・・・
あのときの胸“キュン”はミーシャ自身?!
ミーシャは《さち》??
『僕は・・・さち?』
恐る恐る神様に尋ねました。

神様は返事の替わりに
ゆっくり天空を仰ぎました。

『ミーシャ、
まだ、だれも気付いてはおらんがの。
あの青年の魂はあの日・・・
懐かしい家族の元に帰ったのじゃよ。
だれにも内緒じゃぞ。
お前にだけ、ソッと教えてやろう。

生きること
そう悪いこともなかろ?!
なぁ、ミーシャ・・・』

「ミュー・・・」
ミーシャは嬉しそうに神様の優しい顔を見ました。 ライン

そして・・・
ちょうどミーシャのお誕生日の日
秋が駆け足で通り過ぎたころ・・・
北国の小さな散髪屋さんのお家に向かう
お姉さんの姿がありました。

頬はバラ色に染まり
足下は軽やかでした。
でも・・・
その手は
ソッとお腹に添えられていました。

『お帰り、天上の生命・・・』


HOME NEXT BACK TOP