タイトル

ムーン・ストーリー(Aug)

短い真夏の季節がやってきました。
そんなに長い時間ではありませんが
本土と呼ばれる場所と同じような暑さに見舞われます。
でも・・・
北国のそれは、あのジメジメ感はなく
返って、一番爽やかな季節です。

もうすぐお盆がやってきます。
天上に帰った魂が帰ってくる日。
お母さんはお仏壇のお兄さんに向かって
「早くお帰り。」そう、声をかけています。

お父さんとお母さんは、
この時期に来るある青年を待っています。
お兄さんのお友達・・・
毎年、休暇を利用して海を越えてバイクでやってきます。   
「僕を息子と思ってね。」

お母さんは【仮息子】と呼んでいますが・・・
青年の気持ちが嬉しくて
どんなに感謝しているか解りません。

「ただいま〜〜」
若者の元気な声がお店の前で聞こえました。
ミーシャは急いで戸口まで飛んでいきました。

その夜の食卓は久しぶりに賑やかでした。
まるで、本当のお兄さんが帰ってきたみたいに・・・
お父さん・お母さん・青年・お姉さん・お姉さんのご主人
そして・・・ミーシャ。
お母さんは「時間が戻ったようだわ。」と
台所で そっと涙をぬぐいました。

ライン

その日は満月とお盆が重なりました。
夜、小窓で一緒にお月様を見ていたお母さんが
「神様が見ているみたいね、りゅう。」
そう、ミーシャに囁きました。

「ミュー・・・」
『そうだよ、神様がいっぱい色んな物見せてくれるんだよ!』
ミーシャはそう答えましたが
お母さんは笑って、ミーシャの背中をなでていきました。
『そうだよね、お月様・・・』
「ミュー・・・」

〈虹〉

ミーシャはいつの間にか虹色の架け橋を登っていました。
お月様が「ミーシャ、内緒ですよ・・・」
笑ってウインクしました。
そうするとまた、虹色の架け橋が・・・
その架け橋の向こうは

あらら・・・
ここはどうやら神様の仕事場のようです。
『だからお月様、内緒って言ったんだ・・・クスッ』
なにやら神様はひとりでぶつぶつ言っています。

「いやいや・・・忙しい
天使のひとりやふたりの手伝いでは追いつかぬぞ・・・」

神様の座っている椅子の横には銀色の棚のような物があります。
そこには・・・
ミーシャがいつか見た
あの【あぶく】が行儀良く並んでいます。
とても綺麗な水晶玉のようです。   
大きい【あぶく】、小さい【あぶく】
大きさは様々ですが、透き通るように綺麗な【あぶく】です。

神様はそのひとつひとつを大事そうに手にとって
フゥ〜と息を吹きかけています。
そして元の場所に置くと・・・
その【あぶく】がドクンと小さな音がしたような
ミーシャはそんな気がしました。

お月様が
「ミーシャ、虹が消えないうちにお帰り」
そう言いました。

あれはなんだったのだろう・・・
ミーシャはとても不思議な気持ちになりました。


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