タイトル

教師ふたり(その3)

何時の時代になってもそう人は変わらないのだろうか?
薫子の息子達の教師にも良きにつけ、悪しきにつけ
心に残る教師がいた・・・

双子(弟)

小学1年の夏休みが終わったある日。

少年は泣きながら帰ってきた。
薫子が話を聞くと・・・
「夏休みの宿題で作った貯金箱
隣の席の○○ちゃんが取って、自分が作ったって先生に言った。
ボクが何度違うって言っても先生わかってくれなんだ。」

薫子にあの幼い日がよみがえった・・・
どんなに泣いても、訴えてもわかってくれなかった大人達。
薫子はあの時、父か母がひとこと言ってくれたら・・・
そう何度願ったことだろう
大人は大人の目線でだけでしか見ない。
大人にとってたいしたことがない・・・
でも、子供にとっては天地がひっくり返るほどの問題なのに。

すぐさま薫子は行動に出た。
泣きじゃくる子供の手を引いて学校に向かった。
教室は空っぽだった。
「○○ちゃんの席はどこ?」
尋ねた薫子に少年は中央辺を指さした。
薫子はその机から例の<貯金箱>を探し当てた。
職員室も覗いたが、担任の姿は見えない。

教室に戻った薫子は、教師の机にメモ書きとその貯金箱を置いた。

<これは間違いなく、息子が作った物です。

夏休みに私と一緒に作りました。
○○さんが嘘を言っています。>

それだけ書くと教室を後にした。

しばらくして、その教師から電話があった。
もちろん詫びの言葉はあった。
しかし・・・
○○ちゃんの肩を持った理由とは・・・
<○○ちゃんの方が勉強が出来たから>だった。
そう・・・
こんな時から色眼鏡で子供を見ているのだ。
これが経験豊富な教師の現実だった。

双子(兄)

高校一年の秋。
郡部から市内の工業高校に通っていた少年。
列車から降りて、久々に迎えに行った薫子の車に乗った。
いつもならまだ30分自転車をこがなくてはいけない。
帰宅の遅かった少年を迎えに行ったのだった

座席に座ったままうつむく彼。
「母さん、僕 停学かもしれん。」
やっとの思いで重い口を開いた。
「何があったん?」 薫子は尋ねた。
「同級生の○○を殴った」
「理由は?」
「僕の机の中を、勝手にいらいよった。(さわっていた。)
ほんで、なにしよんじゃって殴った。」
ほほ〜〜っ・・・何と気短な?!

殴ったことを叱っても時間は後に戻らない。
とにかく殴った現実がある。
「で、その子どうなったん?」
「メガネが壊れて、鼻血が出た。」
「わかった。帰ったらとりあえず、その子にお詫びの電話しよう。
どちらが悪いにしても、怪我のお詫びはしなくてはね。」

電話の向こうの母親は低身低頭だった。
「治療代とメガネの修理代を出させてください。」と
こちらから何度お願いしても、「子供のことですから・・・」
そう言ってご辞退された。
「それなら、今からお詫びに伺います。」と言えば
「三年間のお友達ですから・・・」
それもご辞退された。
「何もなかったことにしましょう。
子供の喧嘩です。親が出る必要ありません。」

その電話を切った直ぐ後に、学校から電話があった。
担任からだった。
怪我の後遺症を心配して、保障云々だった。
「先方とお話しさせていただきました。」
そう言う薫子に、お詫びをとまだたたみかけてくる。
電話を切った後、釈然としない薫子。

翌日、学校に趣いた。
驚く担任に、生活指導課の教師と対面させられた。
いきさつと結果を話し終えた薫子に
「それでは後遺症とかの心配はなく、丸く収まったのですね。
では、処分はいたしません。」

なんのことない、この教師達は・・・
自分たちの責任逃れのために、見舞いに行けだとか
保障とか言っていたのだ。
なんと情けない・・・

その後で、薫子は担任にひとこと言った
「先生、うちの子が四月の入学当初
鼻の骨が折れるほど殴られていたのをご存知ですか?」
「エッ! 誰がやったんでしょう?!」
急いでえんま帳(?)を開ける担任に
薫子は笑って後にした。

サラリーマン先生、我が身の保身ばかりでは
子供達はついてきませんよ。
何のための目線でしょう。
子供達のために全身全霊でかばったことがありますか?
今時の子・・・
そう言う前に、ご自分の姿を鏡に映してご覧なさい。


HOME NEXT BACK TOP