タイトル

ある日・・・

『親は子供を選ぶことは出来ない・・・』
良くそういわれるけれど、子供だって親を選ぶことは出来ない。
人格・経済・その他諸々の条件の違う世界に
無条件に放り出される・・・意志とは関係なく。

薫子(かおるこ)には兄二人と三人の姉がいた。
長兄 和夫、次兄 信夫。
長姉 梅子(うめこ)、次女 桃子(とうこ)、三女 桜子(さくらこ)
そして・・・四女 薫子。
しかし、姉達の存在を知ったのは高校三年の春だった。
いや、もっと正確に言うならば・・・
兄弟姉妹だと言うことに気づいたのが。
子供の頃から、親類でもないちょっと変わった『家』と交流があったのは確かだった。
ほとんどの子供達が普通に与えられる『家庭』
薫子の場合はちょっと違っていた。

「かおるこちゃんって、もらい子ってほんま?」

あぁ・・・またこの夢。
もう人生の半分を終えた今でも、時折この夢で飛び起こされる・・・
いつまでこだわっているのだろう。
5歳の私の何とも言えない・・・
そう、返事のしようがない、
何かをギュッと抱きしめた幼い顔がよみがえる。
子供は残酷だ。
ただ、本当かどうか確かめたかった・・だけ。
この日から薫子は心に鎧をかぶった。
ある意味で心の扉に鍵をかけてしまった・・・
何もかも聞かなかったことにしよう。
幼子は一番手っ取り早い方法を選んだ。
そして、揺り起こされそうな魂の叫びを閉じこめた。


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