タイトル

後日談♪

あの日のことをいつか笑い話で暴露したことがあった・・・

弓彦:僕はもう27歳になっていたし、実際誰でも良かったんだよ。
    しゃれこうべは美人もそうでない人も同じ・・・
    遊ぶには顔もスタイルもいるけれど、
    結婚はそうじゃないからね。
    それにさ、あいつ(薫子)断らなかったんだ。
    男の僕から断れないじゃないか。

弓彦は一度県外に出ていた。
何回か職は変わったけれど持ち前の職人肌は
○○ガスの修理部門で1級技師の腕前になっていた。
職人肌・・・そういわれる人は気っ風は良いのだが
頑固で口が悪い人が多いような気がする。
弓彦は全くそのままの人で
恐らく恋人らしき人が出来ても
優しい言葉もかけない人だったのではないだろうか。
薫子に出会うまで、弓彦の心の深淵を
誰も見つけることが出来なかった?!
その奥底に流れる温かい心の分水嶺

結婚後、弓彦は薫子に言った。
「これから先何があっても別れないから・・・」

  ライン

薫子:以前に出会ったとき(健吾の結婚式)なら
    どうなっていたか解らないな。
    私ね、痩せ形の人だめなの。
    ジャガイモのような人がタイプだったから
    いざって言うとき倒れかかって
    倒れる人は困る・・・

嘘とも、本当とも思えない顔で薫子は言った。
そういえば・・・トオルも決して今風で言うイケメンではなかった。
もしかしたら薫子は無意識のうちに
『家庭の安穏』を夢見ていたのかもしれない。
外見上の自分は解りすぎるぐらい理解していた。
夫と呼ぶ人が常に世間の注目を浴びるような人は・・・
きっと薫子には耐えられない。
あの日・・・すべてを知ったあの日から
薫子は本当の家庭が欲しいと願った。   
心にいつも鎧をかぶるのではなく
ありのままの自分を受け止めてくれる人・・・
その人を『白馬の騎士』のような気持ちで待ちわびた。
地位・名誉・財産・・・   
そんなものは少しも必要としなかった。
ただ、裸の自分を受け止めてくれる人。

弓彦はどう思ったか知らないけれど・・・
薫子はふたりが出会う前のことは問うまいと思った。
何があっても受け止めよう、そう心に誓った。
もし、万が一弓彦の子供というのが現れたとしても
引き取って育てようとさえ思った。
そういうことがあったか、なかったかと言う問題ではなく
この人のすべてを受け入れよう・・・
薫子自身には弓彦に後ろめたいことは一切なかった。
今までのふたりの歴史があったからこそ出会えた
薫子はそう信じた。

   ライン

健吾:正直、こんなにとんとん拍子に進むとは思ってもいなかった。   
    本当は兄貴は怖い存在なんだ。
    親父より怖い(苦笑)
    お袋が良い子いないかって口癖で・・・
    でも、あの口の悪い兄貴に   
    良く「うん!」って言ってくれたよな。

≪健吾≫は知らなかった。
健吾自身の口の悪さを・・・
恐らく突然≪弓彦≫と出会っていたらどうなっていたか解らない。
北方(きたかた)そう呼ばれる地域は言葉が乱暴だ。
それは個人が意識するのではなく土地柄。
何年間か会社でその言葉に自然ならされていた薫子。
≪健吾≫も言葉は悪いが、芯は温かい人だった。
だから・・・≪弓彦≫の言葉の乱暴さが
薫子には苦にならなかった。

後に、≪弓彦≫は言った。
「僕の言い方で泣かなかったのおまえだけ。」


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