タイトル

仕事について

正直に言うと・・・   
自分のやりたい仕事というものに   
巡り会える人はそう何人もいないのでは?
昨今、特にそう思うようになった。
天職、そう言えるものがあるのだろうか?!
もし薫子にそれがあるとしたら・・・
≪母親業≫かもしれない。

今も昔も、ある程度の学校を卒業すると社会にでる。
もちろん親はこれでやっと肩の荷が降りた。
学費がいらない=生活が楽 と密かに喜ぶのだが・・・
当の本人は、不安がいっぱい・なにを選べばよいのか?
まして、今日のような求職難。
その上、自分の希望した職業に
向こうが受け入れてくれるとは限らない。
今まで、親の手厚い保護下でいればいるほど
働かなくても生きていける方法はないかと考えてしまう。
それでも人は食べて行かなくてはいけない。
仕事とは生きていくための糧探しかもしれない。

ライン

薫子の最初の職場
医療・家庭医薬の卸売問屋だった。
県内の仕事としてはそう悪い勤め先ではない。
18歳になった薫子は、
かなりの人数の同期社員と一緒に社会人となった。
そして・・・ここでも選別にあった。   
つまり、見栄えのする女子社員は二階の事務職。   
それ以外は階下の倉庫担当。
会社側にすれば、そんなことは決してない。
そう言うだろうけれど・・・実際は(^^;)
もちろん薫子は階下組。

与えられた環境で精一杯すること
これは今も変わらない薫子の信条である。
初めての職場で何をするのか?
それは膨大な医薬品の名前を覚えることから始まった。
メーカー別・医科向け・薬局向け・大学(検査・培養)・・
若いというのはありがたい。
やがて、その恐ろしい数の薬品名と
在庫棚の場所を覚えた。

発注という作業があった。
会社にとって一番からずっとその出荷数に
応じてランクがある。
主流メーカーは先輩社員がその作業にあたっている。
ただ、どこの会社でもいるように   
良い先輩=良い社員とは限らない。
何がどうなったのか定かではないけれど
入社して半年を過ぎた頃
薫子は思いもかけない仕事を任された。
この会社ではトップの某製薬会社の発注。
重大な医科向け製品を含むこの仕事は
いわばベテラン社員の仕事だった。   
元々この仕事をしていた女性社員の手伝いだった薫子。
彼女のミスも黙って自分の身に受けていた。   
それで周りがうまく納まるのなら波風立てたくなかった。   
無断欠勤した彼女の仕事を引き継いだ・・・   
そしてある日、出社した彼女は   
自分の居場所のないことを知った。

ライン

それから何年後か薫子は転職した。   
頃はちょうどバブル(高度成長期)と呼ばれた。   
転職そればするほど給料が上がった時代。   
以前の会社にたいして不満があったわけではない。   
ただ、新聞求人欄の給料に唖然とした。   
初任給で今貰っている額の倍近く。   
ボーナスは比べようもない・・・   
当てがあったわけではない。   
違う道も良いな、そう思い始めた薫子だった。

約半年の失業保険給付で、就職活動。   
某化粧品会社の○○販社総務部庶務課に入社した。   
入社面接のその日、大柄な総務課長は   
「職安の給付目的の面接ですか?」と尋ねた。   
いささかこれには驚きと怒りを覚えた。   
「そういうお気持ちの面接ならご辞退します。」   
そういった薫子に満面の笑顔で答えた。   
「イヤイヤ、失礼。そういって頂けると・・・」   
翌日から薫子は社員となった。   
なんとお給料は以前の二倍になっていた。   
今となっては、夢物語のような話。

やがて、ここでも薫子は庶務の雑用から
本社の経理課から信頼される経理課担当になった。
元々の薫子自身の性格によるものだけれど   
書類の不明確さは好きではなかった。   
もちろん、ミスはたくさんあるけれど・・・   
基本は正確であったと今でも自負している。

そして・・・
ここでひとりの青年と出会った・・・


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