タイトル

そよ風・・・(休憩タイム1)

ある小さな田舎の小さな家の裏庭・・・
俗に言う【猫の額】ほどの庭に二匹の犬が
柔らかな春の陽射しを浴びながらゆっくり時間が過ぎていきます。

シロ:ねぇ、おじさん。こうやって毎日過ごすの?
イヌ:そうだよ、新入り。
シロ:・・・でもちっとも面白くないね。行きたいとこにも行けないし。
イヌ:贅沢言っちゃいけないよ、おまえさん。
   オイラがこの犬小屋でおまえさんを寝させてやらなかったら
   絶対飼ってはもらえなかったんだから。
シロ:飼う?それって人間の勝手じゃないの?
   私頼んだ訳じゃないわ。
イヌ:おまえさんは、まだちっこいからーーーー
   と言っても、もうオイラより大きくなりそうだ。        
   ーーーーわかんないのさ。
   おまえさんがこれから大きくなって、この辺をうろうろしてたら
   間違いなく保健所の車が来ておまえさんを捕まえて帰るわな。
   そしたら三日であの世だわな。   
シロ:あの世って?
イヌ:死んじゃうってことだよ。
   まぁな、生きているってことが楽しいかって
   それも複雑だけれどな。
   それでも、人の良い飼い主に巡り会ったら儲けものさ

シロ:おじさんも私みたいだったの?
イヌ:コラコラ、オイラをなめちゃいけないよ。
   オイラはおまえさんみたいな野良公じゃない。
   これでもれっきとした家付きさ♪
   オイラの母ちゃんは【ラッキー】・・・ほらあっちの
   車庫に住んでいるの・・・
   だからオイラは生まれつきここにいるんだぜ。
シロ:【ラッキー】・・・あっ!おかあちゃんのことね。
イヌ:おまえさんね、【ラッキー】はおまえさんの母ちゃんじゃなくて
   オイラの母ちゃん。
   おまえさんがオイラ達の散歩の時にかってに間違ったんだよ。   
シロ:でも、おかあちゃん怒らなかったよ。
イヌ:そりゃ、驚いたさ。   
   おまえさんのような野良公は初めてだから。
シロ:ふ〜〜ん、私って野良なんだ・・・

イヌ:何を今更(^^;)
   捨てられたときから野良なのさ。
   おまえさんだって自分で食べ物探さなきゃならなかっただろ。
   それに、兄弟だっていたはずだぜ。
シロ:うん、三匹一緒にいた。
   でも・・・みんなどうなったか私わかんない。
イヌ:まぁ、いいさ。おまえさんが利口だったのさ。
   ここの家の懐に飛び込んじまったんだから。
   内緒の話だけれどよ、オイラもまだ見たことないんだ。
   母ちゃんが言うには、家の中には人には言えないほどの
   元野良公の猫がいるらしいぜ。
   でも、大事にして貰ってるって、母ちゃん言っていた。
シロ:ふ〜〜ん、外に出ないんだ。
   それって【自由】がないよね。今の私みたいに。

イヌ:まぁな、幸せの基準なんってものはそれぞれ違うわな。
   二食昼寝付き、散歩の帰りにはジャーキーっておやつ頂く。
   そんなにはないぜ、このご身分。
   ご主人様に感謝しなくちゃな。
シロ:飼われてるってことが、自由と引き替えなんだね。
   でも、仕方ないんだ・・・
イヌ:生きるって大変だぜ。
   まぁ、なんか恩返しでもと思っても
   この土地の下は掘っても何も出てこないって
   オイラの探査機が・・・(笑)
シロ:(o^-^o) ウフッ、そうだよね。
   とりあえず、ご主人様にたいしてお利口にしていることかな?

そよ風が笑って通り過ぎた、午後の昼下がり・・・


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